音声ブラウザ専用。こちらより本文へ移動可能です。クリック。

NIKKEI

NIKKEI AD Web

広告申し込みに関するお問い合わせはこちら

English Page


CB Valuatorとは?
ブランド価値ランキング
日経企業イメージ調査
実践コーポレートブランド
日経ブランディング

実践コーポレートブランド

ブランドベースのコミュニケーション

 ブランドの中核価値を発信・伝達するという点でそれが外部の顧客・消費者に向けてであろうと、株主や従業員に向けてであろうと本来は共通な価値をコミュニケーションすべきなのではないだろうか。その視点で見ると、ブランドコミュニケーション活動において、ブランドコンサルティング・デザイン会社は、もっと緊密な協働関係を代理店・制作者と築くべきではないだろうか? ブランドの中核価値(我々はそれをブランドプロミスと呼ぶ)をベースとして内外に発信するコミュニケーションを統合化するためのツールとして視覚・触覚等におけるLook&Feelによるポジショニングを紹介してみたい。

ブランドに影響を与えるエモーショナルな評価


図1

 ブランドのそもそもの起源は、ノルウェー語で焼き印を意味する“BRANDR”だと言われている。本来自分の所有するトナカイを他人のものと識別するために焼き印を押していたものが、何らかの価値によって他のモノと識別・認識するものを蕫ブランド﨟と呼ぶようになった(図1)。そして今日ではブランドを構築・強化することとは、無形価値の発見、活用により自社(製品)を差別化する長期経営戦略の一つであると言われている。
 それではなぜ有形価値ではなく無形価値なのだろうか? 一つには性能、機能、価格などへの評価は表層的であり、他ブランドと差別化するのは、顧客・消費者にとどまらず、流通、そして社員までのヒトの「心」、つまり「右脳」に向けてであろうという点である(図2)。
 商品の提供する機能や性能、価格、流通チャネルなどの実際のブランド経験に根差す合理的評価をベースとしながら、他人評価、広告販促コミュニケーション、自分のブランド体験を基とするイメージによるエモーショナルな評価がブランドへの力に影響を与える(図3)。ブランドは、視覚、聴覚、触覚等への刺激をアイコンとし、そこで連想される商品、消費などに関連する様々な情報をプロミスとしてエモーショナルに伝達できると考えられる。


図2 ブランド連想の階層

図3 ブランドの力

ブランドの五つの構成要素

 ブランドを構成する要素を整理してみると次の5点ではないだろうか。

  1. ビジュアルアイデンティティ(VI)
  2. ブランドプロミス(中核価値)
  3. 主要属性(ブランドを動かすドライバー)
  4. ブランドスローガン
  5. ブランドベースの社内及び外に向けたコミュニケーション

 かつてのVI、あるいはロゴマークは認識記号としてすべてのタッチポイントにおいて共通に表示されていることが求められていた。今日ではデザインの基本的機能、記憶に残りやすい想起性に加え、ブランドプロミスを視覚的に表現する役割まで担うことを想定する。ロゴ単体のデザイン性、想起性に加え、その背景となる情報(特にブランドプロミス)ロゴを中心とするコミュニケーション物(アウトドア、名刺、レターヘッド等)と、ロゴを必ずしも中心的に表現しないコミュニケーション物(広告物、パッケージ、説明書等)との関係を配慮し、ブランドの全体発信構造を構築する必要がある。


図4 人間の知覚

 エンタープライズIGの調査によると、人間の知覚の10%は文章情報、20%は音声・口語情報、そして70%は視覚からもたらされているという(図4)。
 視覚により認識し、視覚を引き金として連想される情報は、適切に想起されるならば、多くの情報をもたらす。例えば、図5のようなマークは、文字による説明の必要がなくブランドのイメージを喚起してくれる。この視覚的なシンボルにより伝達される情報の量は、各ブランドの今日まで発信してきたコミュニケーションの一貫性、差別性によるところが大きい。
 これらのケースと逆に、ロゴ、マークの一貫性がなく、併用する文章における色、ブランド環境(ブランドを発信する各表現物のトーン・アンド・マナー)がバラバラである場合、せっかくの発信情報も蓄積されるどころか、対象者を混乱させる可能性が高くなる。コミュニケーションはなるべく一貫性があり、共通のブランドプロミスを伝達し、頻度高く、あるいは各重要タッチポイントにおけるコミュニケーションスタイルの統合化を行うことが好ましく、結果として各ステークホルダー(顧客、市場、流通、投資家、社員、リクルート候補など)に対するコミュニケーション効率が改善される。
 我々は、ブランドのコミュニケーション要素をコミュニケーションコンセプトとして想起する際、ブランド戦略を「文字」の世界から、より市場の現実に近い視覚/聴覚/触覚言語に翻訳し、表現開発を担当する各分野におけるクリエイター、デザイナーが共通の表現プラットホームに立てる手法を採用している。

ブランドプロミスのLook&Feel


図5 このシンボルは?

 Look&Feel あるいは視覚言語ポジショニングと称し、ブランドの伝達要素を九つの分類項目から説明する。「文字」による説明、想起は多くの場合抽象的にすぎ、表現開発の際の基本的なブリーフとしては頼りない場合がある。そのような観点からクリエイティブアイデアの開発を阻害することなく、表現のトーン・アンド・マナーに共通の約束事を規定することはブランドコミュニケーションを管理するに際して有用である。このLook&Feelは極端に具体的、具象化された規定であると、それ以降のコミュニケーションが硬直化、形骸化するリスクもあり、またクリエイターの裁量の自由度を考えておく必要もある。
 それゆえに、マス広告の表現を担当するクリエイター、プロモーション、販促物のデザイナー、ウェブ開発者などにとって活用しやすいガイドラインを開発するため、コミュニケーション担当者、コミュニケーション代理店そしてブランドデザイン会社のより機能的、かつ密な関係づくりが望まれると思う。
 図6はエンタープライズIGがブランドプロミスをコミュニケーションプラットフォーム化する際に使用しているLook&Feelの一例である。先ず、九つのグリッドの真ん中に、キーコミュニケーションコンセプトをイメージボードで表す。これはブランドを一言で表現すると? という問いに答えるものである、フォントの選択も含めてである。このケースでは“The rhythm of life”(生き物/生命のリズム)という表現コンセプトで酪農産業サポート企業の基本表現コンセプトを規定する。


図6 ブランドプロミスのLook&Feel:視覚言語によるポジショニング

 左上から順次、時計回りにグリッドを説明すると、
ムード、あるいは雰囲気:このブランドの表現・伝達する世界をムード、光、あるいは音声に例える。このブランドは錨のように安心感、安定感を与えている。
製品・モノに例えると:秒、一刻一刻を表すストップウォッチ。家畜の出産、病気など一秒一刻を争うことに対応する。
生き物:動物、昆虫などに例えてみると、家畜でありそれもベーシックな存在である牛に例える。
態度:このブランドが基本として有する態度。24時間体制の救急病棟、対象が家畜であり、生き物にかかわるあらゆる問題に24時間で対応できるプロミスである。
人物:人に例えると、動物を愛する経験豊かで信頼できる知識人である。
素材で表すと:農場におけるミルク缶、機械などを代表するメタリックな素材感。自然でありながら同時に科学的な提供サービスを例える。
環境:場所、空間、街などでこのブランドを表現すると? 広い大自然。牧場としての雄大さ、エコ志向など。
行動:このブランドを行動、動きなどに例えてみると? 変化に対する柔軟な対応力、新しいことに対するチャレンジを平常心で行える。
 以上、九つのグリッドに対してそれに適応する視覚表現を創造し、コミュニケーションするトーンとアプローチを説明、表現する。

新聞媒体における企業広告コミュニケーション


図7 Look&Feelポジショニングによるコミュニケーション例

 そのようにして作成してLook&Feelをどのようにして役立てるのか。我々はブランドに関するコミュニケーションは、社内・外を問わず、各タッチポイントにおいてなるべく一貫性があることが、コミュニケーションの効果と効率に重要な影響を与えると考える。図7を一つの例として、Look&Feelの表現プラットホームをベースとして社内の受付、オフィス環境、社内報、イントラネット、ブランドブック、会社説明書、デザインガイドラインなどが同じトーン、表現アプローチの中で展開される。同時に社外発信の面でも、商品パッケージ、配送用荷姿、社用車・配送車、ウェブそして広告物のLook&Feelが統一され、ブランドとしてのアイデンティティが強化される。企業ブランドコミュニケーション広告において、特に新聞広告に関しては、企業広告媒体として、文字情報をより説明的に展開するケースが多く、他タッチポイント、他マス媒体でのコミュニケーションのトーン・アンド・マナーと異なるケースも多く見られる。
 今後の新聞媒体における企業広告コミュニケーションにはLook&Feelを活用し、各タッチポイント、各コミュニケーション媒体共通の360度全方位的なブランドプロミスを中核とするコミュニケーションを展開するべきではないだろうか。

エンタープライズIGジャパン
エグゼクティブ パートナー
佐伯 邦夫

お問い合わせサイトマップENGLISH