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<基調講演>
ブランド・ポートフォリオ管理の重要性と
ブランド・ポートフォリオ戦略

ブランド強化のために

 競争が激しく、差別化が困難な市場で、ブランドの重要性は高まってきていますが、ほとんどの企業はブランドをポートフォリオとして管理できていません。しかし、ブランド・ポートフォリオを上手く活用することで多くの効果が望めます。

  • ポートフォリオの効率的活用:
    ブランド構築プログラムを提供製品・サービス全体にわたって共有し、活用することでコスト効率が改善し、グローバルなプログラムとしての恩恵も享受
  • ブランド間の相乗効果:
    ポートフォリオ全体の活用によって得られる、より強力なブランド・エクイティを創造
  • 差別化とエネルギーのあるブランドの創造:
    ポートフォリオを活用して、より的確な、差別化されたエネルギーのあるブランドを創造
  • 企業の成長戦略の支援:
    ブランド・プラットフォームをつくり、活用することで成長戦略を支援
  • ポートフォリオの役割の明確化とブランドの強化:
    明確なブランド・ポートフォリオをつくることで本当に重要なブランドが分かり、ブランドが強化

ブランド・ポートフォリオ戦略の六つの要素

 ブランドの創造や維持は高いコストを伴います。強いブランドを構築するためには、企業が保有する、もしくは保有すべきブランドや排除すべきブランドを見極める必要があります。これが第一の要素、蕫ブランド・ポートフォリオ﨟です。新しいブランドやサブ・ブランドの追加を検討する際、将来の事業に照らし、投資利益率、既存のポートフォリオ内の重複・代替ブランドの有無など、ポートフォリオ管理のため、ルールを設けておく必要があります。
 第二の要素は、ブランドの関係性を視覚的に示すポートフォリオ・グラフィックスです。これを適切に管理することで、ポートフォリオ全体にわたってシナジー、レバレッジ効果、明確さを提供することができます。具体的には、ロゴやロゴの一部の図形、あるいはブランドカラー(色)などにより、ブランドの共通性・類似性を視覚的に示すことです。
 第三の要素は、ブランドの優先順位を明らかにし、将来の事業戦略とブランド構築プログラムが合致するような表現をする、つまりブランドの関係を論理的に表すポートフォリオの構造です。例えば、シティグループは大きな組織のM&Aを通じてできた巨大企業であるため、複雑化したブランド・ポートフォリオの明確化と多様なセグメントをターゲットとした事業戦略を論理的に支援するようなポートフォリオの構造を必要としていました。そこで、ブランドをセグメント別に系統立て、将来の事業戦略の方向性を論理的に示すことで、顧客にシティグループのどの部分が対応するのかを明確にし、提供製品・サービスに対してより明確な認識ができるようにしたのです。
 第四の要素は、ブランドが持つ拡張の可能性を考える上でのブランドの範囲です。ブランドを付与するあらゆるものが、ブランドの持つ知覚品質と一致し、ブランドを支援、少なくとも傷つけないように気をつけなくてはなりません。そのため、自分のブランドの強みを理解し、どの製品、サービス、カテゴリーにその強みや連想が役立つかを考える必要があります。また、ブランドに深みや広さを与えるなどの変化をもたらす可能性を探るため、ブランドの現状だけでなく、将来の可能性も視野に入れる必要があります。
 第五の要素は、どのブランドが成功する可能性を秘めているのかを明らかにする、すなわち提供製品・サービスの役割の明確化です。つまり、製品・サービスを定義することで明確なポートフォリオがつくれ、ブランドを強化することに繋がるのです。これには三つの軸があります。
 最初の軸は、新しい提供製品・サービスをつくった際、既存のマスター・ブランドを使用するマスター・ブランド型戦略、もしくは新しい製品・サービスがつくられるたびに新しいブランドをつくる個別ブランド型戦略のどちらを選ぶか、ということです。これらの選択肢には異なる利点がありますが、マスター・ブランドの名前から、提供されている製品・サービスのイメージが創造でき、レバレッジ効果を最大限に生かせる場合、マスター・ブランド型戦略を標準の選択肢とすべきでしょう。また、ブランド構築プログラムをすべての製品にわたって活用できるため、シナジーを生み出す利点もあります。しかし、個別ブランド型戦略を選択する利点もあります。提供製品・サービスのポジションの明確化、妥協の低減、マイナスのブランド連想の回避、あるブランドで起きた問題のほかブランドへの負の連鎖の回避ができるという利点があります。更に、本当に他とは異なる革新的なものをつくった場合、その物語を伝えるのに新しいブランドは最適ですし、チャネル間の利害衝突を低減させる利点もあります。
 二つ目の軸は、マスター・ブランドの限界、パーソナリティ、チャネルの問題、新規事業や提供製品の将来性や戦略性の高さなどを考慮し、マスター・ブランドとの距離を見極めたサブ・ブランド、エンドースト・ブランドを戦略的に使うことで、より強く、効果的なポートフォリオをつくることです。強いマスター・ブランドが存在し、マスター・ブランド型戦略を取っている企業が、そのブランドをレバレッジさせながらも、少し趣の違うパーソナリティや違う種の製品を提供したい場合、サブ・ブランドを使うという策や、マリオットがコートヤードやフェアフィールド・インをエンドースしているように、エンドースメントから想定できる約束、便益を得られることを暗示するエンドースト・ブランドを使うという策があります。
 三つ目の軸は、親ブランドに有意義な差別性を提供する、ブランデッド・ディファレンシエーターの活用です。これは、ブランド化された製品、サービス、プログラム、素材などを指し、積極的に管理されなければなりません。顧客の購買やロイヤルティの促進要因を理解し、自社の製品やサービス・パッケージが持つ競合優位性、顧客から選ばれている理由を見極め、ブランド化させ、ブランデッド・ディファレンシエーターとなりえるかを検討します。
 そして最後の六つ目の要素は、企業のフォーカスを明確にするポートフォリオの役割です。事業戦略を反映し、将来の業績の見通しが良かったり、現在戦っている土俵だけでなく他のカテゴリーにもレバレッジが可能であるような戦略ブランドを見極め、フォーカスすることで、強いブランドが構築され、企業の成長戦略を支援するのです。また、強いブランドを構築するためにはエネルギーも与える必要があります。エネルギーのないブランドは、製品クラスが挙げられた時、顧客の頭の中にそのブランドは再認・再生されず、購買や利用の検討から漏れてしまいます。そこで、顧客の興味や関心を理解し、親ブランドと結び付けられることによって、それを活性化、強化させうるようなサブ・ブランドもしくは個別ブランドが付与された製品や活動を持つこと、つまりはブランデッド・エナジャイザーを探すことが必要なのです。
 このように企業はブランド構築のために保有するブランドのフォーカス、理想的なブランドを強化するようなブランド構築プログラムを考え出し、ブランド・ポートフォリオを上手に活用する必要があるのです。

プロフェット副会長・電通顧問 デービッド・アーカー氏

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