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B2Bブランドフォーラム「B2Bブランディングで、ブランド大使を創る」(協力:日本経済新聞社名古屋支社)が、5月に名古屋市内で開催された。主催は、世界各地でB2B企業のブランディング支援を行うオグルヴィ&メイザーの日本法人と、中部地区の自動車関連企業に対するマーケティングサービスで豊富な実績を持つデルフィスが共同で立ち上げたB2Bブランドフォーラム委員会。同フォーラムの概要の紹介は1回目を本誌8月号に掲載、今回は2回目を紹介する。

社内ブランディング「ブランドは企業の中からつくられる」

社内コミュニケーションの徹底

 B2B企業のブランディングでは社内ブランディング、つまり従業員の関与が特に重要です。その成否は商品やサービスの優秀さに加えて、従業員の行動に負うところが大きいからです。トップだけではなく、一般従業員も自社のブランドをよく理解し、顧客企業に的確に伝えることが欠かせません。
 ブランドに対する従業員の理解と支持を得るためには、まず自社が行っているブランディングの社内認知度を高め、従業員の参加意欲をかきたてる。次にブランディング目標の達成に必要な技術と知識を教え、さらに具体的な行動を通じて従業員自身にブランド大使になってもらうというプロセスを踏みます。
 もっとも、これはそう簡単なことではありません。実際、エンタープライズIGが過去五年間、世界各地の企業の従業員約4万人を対象に実施した調査では、自社のブランディングに貢献している人は全体の約30%。70%の人は中立もしくは否定的な態度を示し、その中にはブランディングへの知的理解度は高いのに情緒的関与度が低い「傍観者」と呼ばれる会社に対してネガティブな思想を抱く 内部テロリスト も4%含まれていました。
 ブランディングに積極的に関与する従業員を増やすためには社内コミュニケーションの徹底が不可欠で、先進企業の経験からは以下の点が重要なポイントとして浮かび上がってきます。
 事業戦略・計画を頻繁にコミュニケーションする社内外へのメッセージに統一性を持たせる社内の利害関係で社内コミュニケーションの方向性を失わないビジネスのゴールに到達するためには何が重要なのかに従業員の意識の焦点を合わせる中間管理職を通じて社内で草の根的な活動を実施する態度や価値観を付加した採用活動のプログラム作りと、教育システムに投資し頻繁にシステムを見直すブランドへの自信を形成するため、考える場所を提供するなどオフィス環境を活用するといったものです。

事例:「ボーダフォンのグローバル社内ブランディング」

 社内ブランディングを成功させるには、さらにいくつかのことが必要です。一つは経営陣の支持で、それには社内ブランディングがもたらす価値の明確化が必要になります。二つめは顧客と従業員の接点を維持・強化するために、顧客満足度の向上とブランディングの相関をシンプルな形で明確にして、社内にコミュニケーションすることです。
 三つめは従業員の日常の業務活動とブランディングに関する活動に一貫性を持たせること。つまりブランディングへの貢献を、日常業務の表彰制度や業績評価制度などに何らかの形で反映させることです。従業員に対するヒアリングとフィードバックの仕組みとともに、社内ブランディングを長期にわたって継続していくのに役立ちます。

継続的な社内ブランディングのために


図1 Common Vision and Values

 ボーダフォンのグローバル社内ブランディング活動は、「聞いている」「信じている」「生活している」3つのフェーズで展開されました。
 「聞いている」で開発されたビジョンは、非常にシンプルな「パッション(情熱)」という言葉で集約されました。複雑で覚えられないブランドビジョンを掲げている企業が多くある中、ボーダフォンはグローバル企業であり、吸収合併で形成された企業文化を有するため、あえてシンプルな一語にブランドビジョンを集約しました。さらに、言語の壁を乗り越えるため、4つのステークホルダーに向けた「パッション」をビジュアルアイコン化しました(図1)。常に、言葉とともにコミュニケーションされることで、グローバルの従業員が共通で使用できる新しい「言語」を創造したのです。
 次に、ブランドビジョンの模範となり、行動しなければならない各拠点のリーダーを対象にワークショップ形式で伝達し、他の従業員の模範となる役割を果たすブランド大使を任命しました。ブランド大使は業務上影響力のある、もっとも実質的活動の中心となる中間管理職の中から選定しました。
 同時に多くの従業員に対してもブランドビジョンを訴求するため、様々なコミュニケーションツールを作成しました。これらのツールは、ブランドビジョンに関しての情報を伝達させるだけでなく、思い出すきっかけを従業員に提供し、記憶のリフレッシュ効果もあります。
 ツールの1つとして、お客さんを第一に考えて常に行動していることで有名なオーストラリアのボーダフォンの従業員が「ジャングルでも砂漠でも、お客さまのためなら何処までもお伺いします」というお客さまへの「パッション」をスナップショットにしてポスターを制作しました。従業員は自分と同じ立場の人間が実際にブランドビジョンを体現している例を見ることで、自らの行動の指針とします。


図2 Consistency at Key Touchpoints

 「信じている」フェーズでは、すべての階層・階級の社員に、ブランドの関与を形成していくために、「聞いている」フェーズよりも豊かで日常の業務に直結した情報をブランドと関連させたツールを通して伝達しました。表現の一貫性を持たせるため、ルック&フィールを規定しました。それはオフィス空間、社内コミュニケーションツール、ワークショップ会場などの社内向けのものから、展示会会場や一般に向けたコミュニケーションまで、社内外のすべてのものを統一表現するために使用されました(図2)。その結果、従業員は企業の従業員に対するコミットメントの強さや、社内ブランディング活動が社外の顧客への活動に関係していることを感じ取ることができました。
 さらにブランドビジョンに基づく活動と褒賞制度を関連付けることによって、従業員のブランドビジョンを体現することに対するモチベーションを提供しました。表彰された従業員は褒賞としてF1(フェラーリ)やマンチェスターユナイテッドの試合に招待されます。F1やマンチェスターユナイテッドは、チームカラーがボーダフォンを象徴する赤であり、常にナンバーワンという成果を目指しています。そのため、従業員はブランドビジョンである「成果に対するパッション」を試合やレースという形で経験します。
 「生活している」フェーズでは、従業員の成果を測るためのKPIや、人事の採用システム、CSRのプログラムなど、従業員の日常の業務にシステムとして組み入れる活動を継続的に行っています。
 この社内ブランディング活動の結果として、6万8000人の従業員のうち90%以上がブランドビジョン及びそれが意味することを正確に理解しています。さらに、81%の従業員がブランドに関する企業の変化に好意的であると評価しています。
 CEOのアラン・サリンは、「ブランドのポジショニングを現実化すること、ブランド力を高めるのも低下させることに従業員は責任を有している」ということを公言しています。社内ブランディングはマネジメントがコミットし、全従業員で行っていく業務であり、最終的にビジネスを継続的に発展させるためにも、非常に重要なものであるという認識がボーダフォンではグローバル社内ブランディング活動を通じて形成されました。

エンタープライズIGジャパン
プロジェクト・ディレクター 佐藤 詔子

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