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| 東京コピーライターズクラブ リレーエッセイ 連載(4)/松木圭三 | ![]() |
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ヒトの失敗ほどオモシロイものはない。
仕事の良きパートナーであり友人でもあるCMプロデューサーのS氏と飲むと、彼の口から過去の爆笑CM舞台裏話が必ず飛び出す。 その1:S氏がまだ若い頃、事務所の電話をとると慌てた様子の先輩からであった。「すまんが、オレのデスクでこの電話とってくれるか?」「はい」「一番下の引き出し中に何が入ってる?」「どうかしたンですか?ポラロイドカメラがあります…」「ソレがソコにあったらアカンがな…」。まだケータイ付きカメラも普及していない時代、その電話は北海道山中に秘境の写真を撮るために出かけていたロケハン先からだったという。現場にはピンセットや綿棒など、どうでもいいような制作キットはあったらしいのだが、肝心なモノほど忘れるらしい。 その2:重要文化財に指定されている合掌造り内での撮影。機材を誰かが引きずったらしく、黒光りした床が傷つき、生木が現れていた。「すわっ、これは一大事!」とS氏はマジックでこっそり修復作業に取りかかった。いつのまにかスタッフたちがS氏の回りに集まった。「よし、バレんように取り囲んでくれ!」とS氏が見上げると、固唾を飲んで見守る円陣の中のひとりとしっかり目があった。なんとそこの館長だった。S氏はそのまま気を失おうかと思った。 その3:「太陽は、ひとつじゃ!」が口癖の巨匠中の巨匠と言われた照明技師がいた。ある日スタジオで、いつものように、とてつもない大光量で照明を作り上げていた。すると若いスタッフのひとりが、「あのー」と口走ってしまった。すると巨匠は吠えた。「なんか、文句あんのか?え?」。若者はたじろいだ。スタジオに異臭が漂った。照明が強すぎ、熱を持った商品から煙があがっていた。 その4:落語家と海外ロケに出かけた。盗難が多いことで有名な街だったので、その落語家はホテルも信用せず、いつも全財産とパスポートを持ち歩いていた。そしてある日、路地でひったくりにあった。その瞬間とっさに彼はカバンをギュッと強く握りしめた。そして恐る恐る手元を確かめた。カバンの「取っ手」しか残っていなかった。落語家は叫んだ。「とっても、びっくりした!!」。
とまあ、S氏の話は尽きませんが、人の失敗ほどオモシロイものはありません。
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東京コピーライターズクラブ リレーエッセイ 連載(1)/東 秀紀 [ 9月4日掲載 ] |
