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第7回:『2011年はブランディング進化論』/
グラムコ(株)代表取締役社長 山田敦郎
第7回:『2011年はブランディング進化論』

ブランド進化からブランディング進化へ

今年は、「ブランド進化論」から「ブランディング進化論」へ、というテーマで1年書かせていただく。その意味するところは、ブランド進化そのものを支える「ブランディング」(ブランド構築にかかわる一連の作業の総称)の手法そのものが、進化を遂げている、ということである。国内外の事案を例に交えながら、そのイノベーションの変遷をご紹介していきたい。

昨年来、このコラムでもお約束してきた「印象管理」(ブランドスタイルコントロール)なども、その詳細をお伝えしていきたい。ここ1、2年で大手を中心に定着してきた。
社員などの組織構成員に働きかけ、内側からブランドを変え、高めていく活動、所謂「内的ブランド啓発活動」(インターナルブランディング)に関しても、新しい手法が登場してきている。実は、スタイルコントロールとインターナルブランディングが、企業内のイントラネットで融合しているケースが生まれつつある。

ブランドの体系として、コーポレートブランディングやグループブランディングは、今後も益々増加する企業同士の統合・合併で増え続けるだろうが、これは従来型のブランディングで対応可能である。その一方で、企業収支を改善し、生き残りを図る「事業」そのもののブランディングが、リーマンショック以降急増している。ここには互いに近しい関係にありながら、融合が図りづらかったブランディングとマーケティングの合体型手法が活かされる場合が多い。

ブランドの「場」が変わる

ブランドを伝える「場」も変化のただ中にある。産業メディア、あるいは既存のマスメディアの再活性化もあるが、新しい場として認知を得たウェブやソーシャルメディアを活用したブランディングである。企業側が自主的に発信できるウェブやECサイト、ブログやtwitterのように個人が発信し多数の人々が参加する双方向型のソーシャルメディアが台頭し、これらを駆使した手法も定着しつつある。
映画、『ソーシャルネットワーク』で話題を集めたfacebookなどもその一つだ。米国では、このメディアを活用して、企業が個人にアプローチするという企てが活発化している。
マスメディアvs.ソーシャルメディア、企業vs.個人という構図から、両者の連携で如何に効果を極大化するか、という観点へと移りつつあるのが2010年代である。

ブランドは欲求充足型から共感充足型へ

また、生活者や社会がブランドへ期待すること自体も、変質を遂げつつある。特に2008年9月のリーマンショック以降、その期待は顕著に変化した。これはブランドの実務に関わるものとして、看過できない重要な変化といえる。B2Cブランドでいえば、「憧れ・羨望」や「自己体現」という欲求充足型から、「共鳴・参加」や「自己実現」という共感充足型への移行が見られるようだ。

2010年4月に公表された、日経BPコンサルティングのブランド評価調査「ブランドジャパン2010」は、一般消費者とビジネスパーソンへのアンケートをもとに、企業・商品延べ1500ブランドを並列に評価し、ランク付けしているが、その中で一般消費者によるB2Cブランドランキングでは、2009年に7位だったユニクロが、1位に飛び出した。09年比で5ランク以上上昇した上位ブランドは、マクドナルド(16位→7位)、マイクロソフト(15位→8位)、日清食品(21位→11位)、楽天市場(23位→12位)、ユーチューブ(36位→15位)キリンビール(28位→21位)、ダイソー(46位→23位)など。

ファストファッションへとリポジションを果たしたユニクロは、いまやアフォーダブルな価格(気にしないで買えるほど低価格)だけをウリにするブランドではないが、羨望のブランドではなく、簡単に手にすることが出来るブランドであることも確かだ。 これら急上昇ブランドをキーワードで括るとすれば、<身近><親しみ><リーズナブル><ファスト><便利>などとなるだろう。オンライン上のブランドも散見されるが、これらも同様の条件を満たしている。

2011年のランキングも間もなく発表されるが、きっとこの傾向は加速するだろう。他方、復活のブランドがどのように現れるかも、その復活の戦略も含めて注目される。

こうした変化のトレンドをさらに明らかにするために、今春以降、久々に大掛かりなブランド調査(グラムコの自主調査)を、日本や中国で同時に実施する予定である。調査結果が、上記のブランドエクスペクテーションや、ブランドの果たす機能の変化も浮き彫りにできることを確信している。調査結果やその分析結果は、このコラムでもご紹介させていただくつもりだ。


グラムコ(株)代表取締役社長 山田敦郎(やまだ・あつろう)

慶大法学部卒。総合商社の丸紅を経て1987年同社設立。 2004年上海・北京に現地法人展開。アジアNo.1のブランディングファームを標榜(ひょうぼう)する。 日本CI会議体幹事。内閣府沖縄美ら島ブランド会議座長ほか。
『ブランド進化論』(中央公論新社)、『探求メジャーブランドへの道』(税務経理協会)、『パワーブランドカンパニー』(東洋経済新報社)、『品牌全視角』(上海人民出版社)など著書多数。



[ 2月14日掲載 ]

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