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日産トレーディング株式会社は、日産グループの商社で、ルノー・ジャポンはその一部門です。
ルノーは広告マーケティング活動において、“FTS戦略”を推進しています。FTSとは3つのキーワードの頭文字で、Fとはフレンチタッチ、Tはトレンディー、Sはスポーティーを意味します。フレンチタッチとは、フランスのファッションブランドに代表される高い付加価値を持った商品の続きとしてフランス車ルノーを位置づけるものです。トレンディーとは、たとえばドイツ車は保守的、アメリカ車はワイルドというイメージがあるとすれば、ルノーは新しさと斬新さを感じさせるトレンディーというキーワードで表すことができます。スポーティーはF1グランプリに長く参戦し、ルノースポールテクノロジー社がチューンナップした「スポールシリーズ」をラインナップしているなど、クルマとしての高いスポーツ性をアピールするものです。ルノーの広告マーケティングは常にこのFとTとSに共鳴してくれる人たちに情報発信することを基本としています。
もうひとつ重視しているのは、ルノーのブランドロゴの認知度のアップです。昨年、日本経済新聞の紙面企画の調査結果は、愕然とするものでした。認知度はたった数%。ないに等しい数字でした。どこの誰かもわからない人の話を聞いてくれる消費者はいません。ましてや信用などしてくれません。ブランドロゴの認知度アップは、ルノーにとって大きな課題でした。
FTS戦略と合致する日経での広告展開
今回ルノーは日経の突き出し広告と記事中広告を中心とした広告展開を実施しました。日本経済新聞を選択した理由は、3つあります。ひとつめの理由は、日経はターゲッティングが明快に行われているという点です。日本経済新聞の情報を必要としている読者とはすなわち、世の中の動向に敏感で、経済活動に深く関わっている人たちです。可処分所得も多く経済的に裕福であり、ルノーが求めるフレンチタッチ、トレンディーの世界にぴたりと当てはまる層であるといえましょう。
2つめの理由は、若い読者が多いということです。“就活の必読紙”といわれるように学生時代から日本経済新聞を読んでいる人は多く、若いビジネスマンの中でも情報を積極的に取り入れて仕事に活かそうとしている人は、必然的に日本経済新聞を読んでいます。若い世代はまだまだ年収も限られていて消費マインドもそれほど高くはないでしょう。しかし彼らもやがて、ビジネスで経験を積み、責任ある地位を得て、暮らしにも余裕が生まれるでしょう。それまでにしっかりとルノーの世界を伝えておきたいと考えたからです。「ルノーファンを育てる。クルマファンを育てる」という長期的なブランド・イメージの構築には、日本経済新聞を読む将来性豊かな若い世代は格好のターゲットでした。
3つめの理由は……これがいちばん大きな理由ですが……私が日本経済新聞の愛読者だということです。学生の頃からですから、もう25年以上になるでしょうか。私自身がいちばん信頼しているメディアに広告を出稿する。これほど確かでゆるぎない選択基準はありません。
小さなスペースで繰り返し出稿
広告スペースは、あえて突き出し広告と記事中広告を選びました。限られた宣伝予算を有効に活用するには、年に数回全面広告を出稿するよりも、小さな広告を何度も出稿し、フリクエンシー(広告の接触頻度)を高めようと考えたからです。
突き出し広告は小さなスペースに凝縮されたメッセージが込められ、注目率が高いという印象があります。明治大正期から日本の新聞とともに歩んできた長い歴史があり、いわば"広告の原点"ともいえる突き出し広告に、私は大きな可能性を感じていました。
まず、最終面の「文化面」に突き出し広告を出稿しました。「文化面」は「私の履歴書」など人気の高い連載があり、私自身もコアな愛読者のひとりです。次に、「アートレビュー面」に記事中広告を出稿しました。「アートレビュー面」の記事中広告の位置は、ちょうど紙面の中央部分にあり、見開きの左面と右面でユニークな広告展開を実現することができました。
さらに「NIKKEI MAGAZINE」と日経電子版のレクタングル広告にも出稿しました。首都圏を中心に約120万部が配布される「NIKKEI MAGAZINE」は、首都圏で圧倒的な販売台数を持つ輸入車にとっては、メッセージが読者に最短距離で届く非常に有効な広告メディアです。広告主は高級腕時計やファッションブランドが多く、メディアとしてのステータス性も高いため、ルノーのFTS戦略の訴求に、ぴたりとはまりました。
また、「小さなスペースの広告を何度も繰り返し出稿する」という広告戦略は、読者の無意識下の認知に働きかける効果があると考えています。
ウェブ・スマートフォン・雑誌広告・イベント等と、突き出し広告を同期させたクロスメディア・アプローチの効果は、予想を遥かに上回るものでした。3回目の広告出稿のあたりから効果はじわじわと表れ始め、ディーラーへの来店客は前年度に比べ約4割も伸びました。販売台数に関しては、東日本大震災による部品供給不足などもあり正確に比較はできませんが、前年度に比べ約2割の増加を示しています。
ルノーを代表する人気車種である『カングー』のキャッチフレーズは「もっともっと、楽しいクルマを」。広告表現もそれと同様に「見る人を楽しませたい。クルマのおもしろさを伝えたい」という考えを徹底しました。シリーズ性はまったく持たせていません。次はどんな広告が飛び出すのかと期待する読者に、脈絡のない展開でひたすら喜んでもらおうと、毎回アイデア出しに苦心しています。
今の若い人たちはクルマに対する情熱を持っていないと、よくいわれます。しかしそれは自動車業界が、クルマの魅力や夢を若者に伝えきれていないことも一因ではないでしょうか。長い時間を掛けて、じっくりとクルマファンを育てていく……それは、クルマという商品だけでなく、クルマを売るための広告にも課せられた使命だと、私は信じています。
今回の日経の突出し広告、記事中広告を中心とした広告展開には、広告効果も含めてたいへん満足しています。これからも日経を長いスパンで活用し、「日経を読んでいる人は、みんなルノーを知っている。みんなクルマの楽しさを知っている」……そんな夢が実現する日に向かって、努力を重ねていきたいと考えています。
(日産トレーディング セールス&マーケティング部
広告宣伝、Webマーケティング、イベント、教育、限定車企画、店舗VI担当マネジャー 永田敬二)=談
[ 10月17日掲載 ]
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