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広告手帖

「ビッグデータをマーケティングに活かす」
電通 ビジネス・クリエーションセンター 魚住高志氏
Eyepoints

カスタマージャーニーへの注目


電通 ビジネス・クリエーションセンター
魚住高志氏

顧客が購入に至るプロセスとして、「カスタマージャーニー」への注目が高まっています。これは、顧客がどのように商品やブランドと接点を持って認知し、関心を持ち、購入意欲を喚起されて購買や登録などに至るのかという道筋を旅にたとえた言い回しです。実際、消費者はメディア情報、広告メッセージ以外にもコールセンター、営業パーソン、店舗など様々なコンタクトポイントと絶え間なく接触しているわけです。消費者中心のコンタクトポイントをどうデザインしていくか、さらに個の消費者に思いをはせ、彼らが何に興味を持っているか、日々どのような生活パターンを持っているか、どんなメッセージに触れているかを把握したうえでマーケティングを組み立てていく、そんなニーズが増えてきています。

私は、ビッグデータを活用した事業開発に取り組んでいます。ビッグデータ、日々絶え間なく供給されるデータをシームレスに分析し解釈できれば、原因と結果をつなげることが可能になります。結果から逆に情報経路を追跡することができれば、今まで見えていなかった読者の顔が徐々に鮮明になり、メディアプランニングや効果的なクリエーティブの理屈付けが可能になります。

ソーシャルメディア、そして多様なインターネットデバイスが普及し、コンテンツや広告の流通経路が複雑化している昨今、広告効果を測定するうえでも、トリプルメディアを活用した広告、複数デバイスの連動を前提とした測定方法が求められています。2013年4月にビデオリサーチと電通で共同開発した「マルチスクリーン調査」では、シングルソースのパネル手法により、スマホ、ネット、既存メディアの接触を統合的に測定できるようにしています。これは、自社のコンテンツがどう見られているのか、ソーシャルでどうつぶやかれているのか、トリプルメディアをどう組み合わせるか、最適な答えをできるかぎり精緻に導くためのアプローチです。

マーケティングとITの融合

いま、マーケティングとITは近づきつつあります。電通でも、富士通と業務提携し、ビッグデータを駆使した知見を蓄積しています。具体的には、化粧品メーカーをクライアントとして想定した取り組みがあります。センサー技術を活用し、女性の肌の調子と生活習慣をパネルモニターにスマートフォンアプリを使って日々実測。毎日欠かさずスキンケアをしている人は肌の調子が上がっていくことが簡易な調査でリアルタイムに見える化できるようにしました。広告会社にとって、センサーデータを使いこなすことで新たなコミュニケーションを提案できるようになるわけです。

マーケティングでビッグデータを扱う意義とは、顧客の行動をデータによって把握すること。プロモーション戦略でいえば、広告効果を売上との関連で説明することを将来的に可能にする視点にほかなりません。いままでは、ある商品を買う人がこういう属性で、こういう属性の人はどういうメディアを見ているかというワンクッション入ったアプローチだったわけですが、「商品を買う人はこういうメディア接触をしている」という直接的なアプローチを可能にしていくことなのです。

従来の広告会社の枠組みを超え、夢はさらに広がります。ガス会社、電力会社のエネルギー使用状況データを活用して家族構成やリアルな行動パターンを把握し、マーケティングに役立てる取り組み。ウェアラブル系センサーを通じて収集するデータをヘルスケア分野に活用する。このように、ネットの世界でしか把握できなかったターゲットの行動履歴をリアルな人の動きも含めて把握できるようにしていきたいと考えています。

心理学で「ジョハリの窓」という概念があります。意識は、自分が知っている領域のほかに自分が知らない領域があって、他人はこの領域をきちんと理解している。他人を「センサー」に置きかえれば、センサーでわかる自分を含めて意識を把握できる。下図の「盲点」の領域では消費者自身も知らない嗜好や性格に向けたメッセージによって、より消費者にとって心地よく浸透効果の高いコミュニケーションが可能になるかもしれません。

[ 8月6日掲載 ]

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