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広告手帖

「メディアプランニング最前線」
博報堂DYメディアパートナーズ統合コミュニケーションデザイン
センタープラニング部長 中澤壮吉氏
Eyepoints

マーケティングミックスモデリングの「先」へ


博報堂DYメディアパートナーズ
統合コミュニケーションデザイン
センタープラニング部長 中澤壮吉氏

あらゆるビジネスシーンでいま何が起きているのか、そしてどう対応すればよいのかを細かく具体的に提示することが求められています。広告会社に与えられる課題もビジネスシーンごとに無数に存在し、企業単位というよりは組織単位で細分化されたソリューションを求められる時代になっています。メディア環境の変化をどうチャンスに変えられるかを考えるうえで、データ分析技術をどう駆使するかが問われるケースが増えてきました。

例えば広告出稿データ、売上データ、Web上の行動データ、さらには気温などのデータが揃っているとします。データをもとに高度な解析を行うことで、それらの要素がどのように、どの程度影響しあっているかを把握できるようになってきました。しかしデータ解析の精度をどれだけ上げても、需要の掘り起こしができなければ広告投資効果としては不足です。広告会社に求められる役割とは、予測値を上回る需要・結果をどう提案に織り込んでいくか、そしていま起きている外部環境の変化に対処しながらPDCAサイクルを回すスピードをどれだけ高速化・実行化できるかというミッションに他なりません。

生活者視点でタッチポイントを設計し、メディアプランをどう組み立てていくか、その方法にもメディア施策中心のアクティベーション型の提案や、新聞・テレビにデジタルでの受けを加えたダイレクト型など、マーケティングミックスのバリエーションは増大しています。それにともなって、広告会社の仕事の進め方も、コンピューターでいうところの“OS”が変わってきた感覚を持っています。縦割りのバケツリレーではなく、社内で異なる専門性やネットワークを持つ部署どうしが合理的に協働し、アプリケーションとしてチームが動いている、そんな感じです。

マーケティングミックスモデリングとは、ブランドの販売に対して、広告活動や店頭販促活動、あるいは季節性や価格などのビジネス環境変動がどの程度のインパクトを及ぼしていたのかを包括的に数値化・可視化する分析です。私たちは、多様な領域にまたがる総合力・組織力(=ケイパビリティ)を磨き、データとアイデアで、モデリングの先にプラスアルファを創造する活動を全社的に動かしています。

KPIの多様化は新聞広告にとってのチャンス

広告投資の目的はブランドの売り上げを伸ばすことであることがほとんどですし、そのゴール(KGI)に向けてメディアの力も最大限に発揮されなければなりません。

KGI達成に向けては様々なプロセス評価指標(KPI)が設定されます。業種・ブランドカテゴリーによってはKPIとKGIが強い関係を持っていることもありますが、画一的なマーケティングのあり方が見直されているいま、KPIの設定は多様化する傾向にあります。これは、新聞にとってチャンスと言えるのではないでしょうか。

例えば「来店数」というKPIを媒体社と共有できれば、お互いに知恵を絞り、送客の手段として新聞の機能に注目しクーポンを組み込んだ広告クリエーティブを展開する、クロスメディア型の新聞社企画を活用するなど読者に行動を起こさせるためのアイデアが膨らみ、提案・実行につなげることができる。そうなれば、新聞は新しい需要を増やす、消費行動の総量を増やすために大きな力を発揮できるでしょう。また、マーケティングコミュニケーションの構造を把握するなかで、「社名検索数」を増やすことをKPIに設定するケースであれば、企業ブランド認知を高めるための新聞広告の活用も浮上してくるでしょう。

新聞広告の新展開は広告主の成功体験と、その裏付けとなるKPIの設定がカギをにぎっています。継続して新聞を使っている広告主は、閲読率など規格化された指標でないKPIを広告会社と共有していることが多い。どのようなプロセスを経て売り上げが上がっていくのか、ケーススタディも必要でしょう。いままで新聞をあまり使ってこなかった広告主にも、需要やリアクションを創造する起爆剤として新聞広告の力を評価していただけるようにしたいと考えています。

多ビークルとプラニングのこれから

生活者のウェブへの接触時間が増えていることは様々な調査結果からも明らかですし、コンテンツに接するデバイスも、コンテンツ消費のスタイルも多様化しています。また生活者のリテラシーは格段に向上していますし、それに呼応するように魅力あるコンテンツを発信するビークルが年々増加してきています。広告会社としても、広告主に対してタッチポイント(接点)としての媒体特性ということにとどまらず、生活者とビークルあるいはコンテンツとの関係性に着目して、それをどう自社のコミュニケーションに活用できるかを提案するケースが増えてきました。

生活者の情報環境が多ビークル・多コンテンツ化するなかで、広告スペースの組み合せを最適化するというプラニングの基本的な役割は必要性を失うことはないにしろ、それだけでは十分なバリューがあるとは言えなくなりました。

新聞も「新聞媒体」という一括りのメディア価値規定に縛られる必要もなくなってきているのではないでしょうか。新聞というビークルが読者とどのような繋がりをもっているのか、情緒的にも、物理的にも。「届ける」から「動かす」発想にもっとシフトできれば、どんなKPI指向のプラニングにもバチッとはまってくる、そんな気がします。

[ 6月25日掲載 ]

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